こんな疑問にお答えします。
この記事では、組み込みC++学習用の環境としてVSCode、CMake、MinGW-w64をおすすめしています。
インストールは煩雑な IDE 設定やデバッガ購入一切不要──3 行のコマンドで完結します。
インストールした後は実際にプロジェクトをビルドする流れも解説します。
これから 組み込みC++ を学ぶ方はもちろん、VSCode+CMake への乗り換えを検討している方にも役立つ情報になっていると思います。
簡単セットアップで “Hello, Embedded C++!” を動かしてみましょう!
それでは、どうぞ。
学習用環境にVSCode+CMakeをおすすめする3つの理由
特に始めたばかりのころはツール自体の「導入の難易度」と「学習コスト」が壁になってなかなか勉強が進まなかったりします。
その点VSCode、CMakeで構築する環境は以下のような特徴があります。
簡単に導入できる
無料で利用できる上に、25,000 超の拡張機能が自由に使えるのもポイント。
日本語 UI・Git 連携・リモート開発が標準対応で、学習コストが低いです。
全体的なバランスが良い
AI ネイティブな IDE が増える中でも、VSCode は「自由度・情報量・コスト」のバランスが抜群。
また、特に学習フェーズではAIのコード補完が強すぎると、逆に理解が追い付かないといった状況になってしまうため、AI機能のバランスも要チェックです。
CMakeでビルドも簡単
CMake は「ビルド手順をスクリプト化」できるツールです。従来の Makefile や IDE 個別プロジェクトと違い、CMakeLists.txt
1つで Windows / Linux / macOS どの環境でも同一手順でビルドできます。
【5分で完了】VSCode・CMake・MinGWをインストール
winget で簡単インストール
wingetで必要なツールをインストールしていきます。
まずはVSCodeをインストールします。
winget install -e --id Microsoft.VisualStudioCode
続いて、CMakeも同様にコマンド1発でインストールします。インストーラーが起動して許可するかどうか確認された場合は許可してください。
winget install -e --id Kitware.CMake
最後にMinGWです。--location "C:\WinLibs"
でインストールディレクトリを指定します。
winget install -e --id BrechtSanders.WinLibs.POSIX.MSVCRT.LLVM --location "C:\gcc"
インストールがうまくいかない場合は、オンラインインストーラーを使う方法も試してみてください。詳細はこちらの記事を参考にしてみてください。
–version オプションでインストールを確認する
version読み出し用のコマンドオプションを使って正しくインストールが完了しているか確認します。インストールの確認ではよく使う方法なので覚えておきましょう。
code --version
cmake --version
以下は WinLibs を C:\gcc\mingw64\bin
に展開したケースの手順です。
C:\gcc\mingw64\bin\gcc --version
それぞれ上記のコマンドでバージョン情報が表示されていればOKです。code
は VSCode、cmake
は CMake、gcc
は MinGW にそれぞれ対応しています。
ここまでで環境構築は終わりです。次のステップで実際にプロジェクトを作成してみましょう。
HelloWorldプロジェクトを作成する
環境構築が終わったら早速簡単なプログラムを作成してみましょう。今回は”Hello, Embedded C++!”と画面に表示する簡単なプログラムを作成します。最終的なファイル構成 は以下のようになります。
hello_embedded/
├── CMakeLists.txt # ビルド用の構成を定義するためのファイル
└── main.cpp # ソースコード
それでは手を動かしていきましょう。
フォルダを作成して VSCode で開く
- デスクトップまたは任意の場所で右クリック → 新規作成 → フォルダー。 フォルダ名を
hello_embedded
に変更します。 - 作成したフォルダをダブルクリックで開き、空白部分を右クリック → [Open with Code]
(メニューが無い場合は VSCode を起動し、「ファイル > フォルダーを開く…」から選択)。
main.cpp を作成
- VSCode のエクスプローラーで 新しいファイルアイコンをクリック。
- ファイル名に
main.cpp
と入力して Enter。 - 以下のコードを貼り付けて保存します 。
// main.cpp
#include <iostream>
int main() {
std::cout << "Hello, Embedded C++!" << std::endl;
return 0;
}
CMakeLists.txt を作成
- 同様にエクスプローラーで 新しいファイルを作成し、名前を
CMakeLists.txt
に。 - 以下の内容を貼り付けて保存します。
cmake_minimum_required(VERSION 3.20)
project(hello_embedded LANGUAGES C CXX)
set(CMAKE_CXX_STANDARD 17)
add_executable(hello_embedded main.cpp)
これでファイル準備は完了です。続いてビルドして動かしてみましょう。
CMake で HelloWorld プロジェクトをビルドする
ここからは VSCode の統合ターミナルで操作します。
VSCode の統合ターミナルを開く方法
- Ctrl + `(バッククォート)— 推奨
- メニューバー Terminal > New Terminal
- アクティビティバー下部の 「>_」アイコン をクリック
いずれも同じ場所にターミナルが表示されますので、使いやすい方法で開いてください。開発ではターミナルを操作することも多いので、ショートカットを覚えておくと便利です。
CMake でビルドディレクトリと Makefile を自動生成する
ターミナルで以下のコマンドを実行します。
$env:Path += ";C:\gcc\mingw64\bin"
cmake -B build -G "MinGW Makefiles"
-B build
でbuild/
フォルダを自動生成し、ソースと成果物を分離します。この構成は一般に “out-of-source build” と呼ばれます。-G "MinGW Makefiles"
は MinGW 用の Makefile を生成。
CMakeでビルドする
ターミナルで以下のコマンドを実行します。
cmake --build build
--build build
で先ほど生成した Makefile を使ってビルドを実行。
buildフォルダ内にhello_embedded.exeが生成されていれば成功です。
実行して動作を確認する
ターミナルで以下のコマンドを実行します。
.\build\hello_embedded.exe
ターミナルに以下の表示が出ていれば成功です。
Hello, Embedded C++!
これで ソース作成 → ビルド → 実行 の基本サイクルを動かすための環境が完成しました。
トラブルシューティング
よくあるトラブルと確認ポイントを挙げておくのでうまく動かなかった場合はこちらを確認してみてください。
トラブル | 確認ポイント |
---|---|
cmake: command not found | CMake の PATH が設定されているか確認。通常インストール時に自動で設定されます。 |
g++: command not found | WinLibs の bin フォルダのパスのパスが間違っていないか |
文字化けする | chcp 65001 で UTF-8 に切り替え |
まとめ
今回の記事のまとめです。
ビルド&実行まで確認できたので、次はVSCode拡張機能をインストールしてみましょう。 拡張機能には補完・デバッグ・静的解析・Git 連携・AI アシストなど、あらゆる作業を効率化できるツールが揃っています。
こちらの記事でVSCodeのおすすめ設定と拡張機能を紹介していますので、チェックしてみてください。
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