VSCode(Visual Studio Code)は、無料で使える高機能エディタとして多くの開発者に愛用されています。特に組み込みC/C++開発では「軽量で動作が速い」「拡張機能で必要な機能だけ追加できる」「Windows・Linux・macOSのマルチプラットフォーム」といった利点が大きく、初学者からプロフェッショナルまで幅広く選ばれています。
しかし VSCode をインストールした直後は、エディタがほぼ “素の状態” なので、見やすさ や コード支援 を自分で整える必要があります。本記事では、組み込みC++をこれから始める方がまず最初に設定しておくと便利な「初期設定」と、絶対に入れておきたい VSCode 拡張機能3選を厳選して紹介します。
ここで紹介する内容を一通り反映すれば、入力補完・ビルド支援・コード整形・リアルタイムエラーチェックといった基本機能がそろい、すぐに学習や実装へ集中できる環境が整います。
※ まだ VSCode・CMake・MinGW のセットアップが済んでいない方は、先に こちらの環境構築ガイド を完了してから読み進めるとスムーズです。こちらもチェックしてみてください。
それでは、どうぞ。
VSCodeの設定を変更する方法
これから紹介する各設定は、VSCode の settings.json
に追記することで反映できます。まだ JSON ビューを開いたことがない場合は、次の手順で開いてみましょう。
- Ctrl + Shift + P を押して「コマンドパレット」を開く
- Preferences: Open Settings (JSON) と入力して実行
画面が二分割され、右側に settings.json
(ユーザー設定)が表示されます。ここへ本記事のコードスニペットをそのまま貼り付ければ設定が即時反映されます。
VSCodeを快適に使うためのおすすめ初期設定
コードは「動けば OK」ではなく、読みやすさと共有しやすさ が大切です。
空白やインデントがそろっていると構造がひと目で分かり、行番号や括弧補完が有効だとタイポや書き忘れにすぐ気づけます。
ここで紹介する 5 つの設定を済ませておくだけで、見落としによる小さなバグやレビューの行き違い をぐっと減らせるので、ぜひ開発を始める前にサクッと適用してみてください。
※ チーム開発の場合はリポジトリに .editorconfig
を置いておくことで VSCode 以外でも同じルールを適用でき、チーム全体のコードスタイル統一に直結します。
空白文字を表示する
"editor.renderWhitespace": "all"
スペースとタブ、行末の余分な空白を可視化します。
これだけで インデントずれ や 行末スペース が一目で分かり、以下のようなメリットが得られます。
レイアウトをそろえる習慣づけにも効果的なので、初心者ほど早めに ON にしておくのがおすすめです。古いコードを読むときも、どこにタブが潜んでいるか一発で分かるので安心です。
ファイル末尾に改行を入れる
"files.insertFinalNewline": true
最後の行に自動で改行を追加します。これを ON にしておくと、
個人学習でもメリットしかないため、最初のセットアップ時に有効化しておくと安心です。
インデント設定を統一する
"editor.tabSize": 4,
"editor.insertSpaces": true
タブ幅とスペース使用を固定すると、
という利点があります。
行番号を表示する
"editor.lineNumbers": "on"
行番号が見えていると、ちょっとした作業がグッと楽になります。
デフォルトで ON ですが、もし表示されていなければ上記設定を追記してみてください。 相対行番号や非表示などに切り替えることもできるので、自分が使いやすいスタイルを試してみるのもおすすめです。
特にチーム開発になると、どのソースコードの何行目のコードがおかしいといったやり取りも増えるため、是非設定しておきましょう。
括弧の自動補完を有効にする
"editor.autoClosingBrackets": "languageDefined"
開き括弧を入力した瞬間に閉じ括弧が自動挿入され、カーソルが中に戻ります。
標準で ON ですが、もし動いていなければこの設定を入れておきましょう。
続いて、拡張機能の紹介です。
拡張機能のインストール方法
拡張機能ビューからインストール
- VSCode 左側の「四つのブロック」アイコンをクリック
- 検索欄に
拡張機能名
を入力 - 表示されたカードの「インストール」を押すだけ
コマンドパレットからインストール
Ctrl + Shift + P
→ install とタイプ → Extensions: Install Extensions
を実行し、同様に検索してインストール。
一括インストール(ターミナル派・CI 用)
code --install-extension <拡張機能識別子>
CI のセットアップスクリプトに組み込めば、クリーン環境でも “一発” で同じ VSCode 環境を再現できます。コピペできるように各拡張機能の項目でインストールコマンドもあわせて紹介します。
C/C++開発に必須の VSCode 拡張機能 3 選
VSCode の真価は拡張機能で決まります。ここでは開発効率とコード品質の両方に直結する3本を厳選しました。
C/C++ Extension Pack
まずはC/C++ Extension Packです。Microsoft 公式パックで、インストールするとC/C++開発向けの拡張機能が複数一括で導入されます。
補完・ビルド・配色までワンパッケージでそろうので、最初に入れておけば「あれも足りない、これも足りない」という迷子状態を回避できます。
ターミナルでのインストールコマンドはこちら
code --install-extension ms-vscode.cpptools-extension-pack
Clang‑Format
次に紹介するのは、Clang-Formatです。コード整形の定番で、.clang-format
ファイルを用意することで自動でフォーマットを整えることができます。
「どんな書き方が正解?」と迷う時間が丸ごと削れる、学習フェーズの救世主です。
.clang-format
ファイルを共有するだけでチームメンバーのコードフォーマットを統一できるため、特にチーム開発において絶大な効果を発揮します。
以下は.clang-format
の例です。
BasedOnStyle: LLVM
IndentWidth: 4
ColumnLimit: 120
この例では、LLVMを基本のフォーマットとして、インデントを4、1行当たりの文字数を120文字に制限しています。
インストールコマンドはこちら
code --install-extension xaver.clang-format
Error Lens
3つ目はError Lensです。エラーや警告をその行に直接ハイライト。見逃しがちな赤文字をド派手に表示してくれます。
「エラーがコードのどこで発生しているのかよくわからない」といった、初心者によくあるつまづきポイントを優しくサポートしてくれる拡張機能です。
インストールコマンドはこちら。
code --install-extension usernamehw.errorlens
おまけ:Japanese Language Pack for VSCode
英語 UI で不自由しない方はスキップ可。UI が日本語になると設定メニューを探すストレスが激減し、学習に集中できます。
code --install-extension ms-ceintl.vscode-language-pack-ja
まとめ
今回はVSCodeが使いやすくなる、基本の設定と必須拡張機能を紹介しました。
ここまでセットアップすれば、「main.cpp を書いてビルドしてデバッグ」 が驚くほどスムーズに!
今後は オンボードデバッグ や リモートターゲット接続 の設定も取り上げる予定です。 お楽しみに。
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